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残土に運搬許可は必要?産業廃棄物に該当するケースはあるかを解説

2023年01月27日

「残土の中でも産業廃棄物許可なしで運搬できるもの・できないものを知りたい」
「残土を運搬できる車両にはどのようなものがあるの?」

上記の疑問をお持ちの土木建築業従事者は、きっと多いでしょう。
この記事では、残土の運搬方法を種類別に解説します。
記事を読めば、通常残土と産廃残土の違いを理解し、正しい方法で運搬ができるでしょう。

土砂禁車両を土砂積み用に変更する方法も解説するので、ぜひご覧ください。

残土に運搬許可は必要?産業廃棄物に該当するケースはあるかを解説

土を運搬する際には種類を見極める必要あり

残土を運搬する際には、以下2種類の土の見極めが必要です。

建設発生土(残土) 許可なし運搬可能
産業廃棄物に該当する土 建設汚泥・埋設廃棄物・ガラ入り土

ここでは各残土の詳細や、産業廃棄物に該当するかを解説します。
残土を処分するときの基準を知りたい土木建築関係者は必見の内容です。

建設発生土(残土)|許可なし運搬可能

純粋な残土は廃棄物にはあたらないため、自治体の許可を得ずとも運搬可能です。
しかし、残土となるものは産業廃棄物に該当する金属などのクズが完全に混ざっていないものに限ります。

金属などのクズが自治体の規定値以上混ざっている場合、自治体によっては残土として処理できない可能性もあるため気をつけましょう。
なお、土の中に混ざっているクズ類を取り除けば、残土としての処理が可能です。

産業廃棄物に該当する土|建設汚泥・埋設廃棄物・ガラ入り土

以下3つの種類の土は、産業廃棄物に該当する残土です。

建設汚泥 規制の汚泥の中でもコーン指数が200kN/㎡以下・一軸圧縮強度が50kN/㎡以下のもの
無廃棄物混じり土 土に産業廃棄物が混ざったもの
埋設廃棄物 燃え殻や鉱さい、鉄鋼スラグなど

建設汚泥・無廃棄物混じりの土・埋設廃棄物は、すべて自治体の産廃処分許可なしでは運搬できません。

しかし、汚泥の粘度を高くしたうえで無廃棄物や埋設廃棄物を土から取り除けば、残土として処理できるケースもあります。

機械の中には産廃残土運搬が禁止されているものもある

機械の中には残土運搬が禁止されているものもある事を、これから解説します。
ここで解説する車両は、土砂禁止車両・深ダンプ・軽トラやバンなどの普通車両です。

● 土砂禁止車両は残土を運搬できない
● 深ダンプは残土運搬に使用不可能
● 軽トラやバンでも収集許可は取得可能

残土を運搬できる車両・できない車両を知りたい方は、解説をよくご確認ください。

土砂禁止車両は残土を運搬できない

車検証に土砂運搬禁止と書いている重機は、原則として土砂を運搬できません。
このタイプの車両は産廃混じりの土はもちろん、土砂そのものの運搬も不可能です。
この種類の車が土砂や産廃残土を運ぶためには、土砂禁車両の変更許可申請を出す必要があります。

変更許可を経てパーツなどを適切に交換した土砂禁止車両ならば、土砂を運ぶ事が可能です。
変更許可申請を出すために必要なパーツの交換などは車両により違います。

申請をする前には、自治体や車両メンテナンスが可能な業者に問い合わせをするのがよいでしょう。

深ダンプは残土運搬に使用不可能

重機の中でも深ダンプと呼ばれるものは、基本的に産廃にあたる残土運搬ができません。
深ダンプに汚泥や土砂を積むと、積載量オーバーとなり罰金を取られるケースもあるのです。

建設汚泥などの産廃残土はもちろん、普通の残土を処理するのも深ダンプは適しません。
残土を処理したいと考えている方は、処理専用の運搬車を購入してください。

軽トラやバンでも収集許可は取得可能

軽トラ・バンは、土砂はもちろん産廃に該当する建設汚泥も、申請すれば収集可能な車両です。
土砂禁車両で取得できない建設汚泥の許可申請も、軽トラ・バンを生かせば取得できます。

「土砂・汚泥などを運ぶ予定はまだ先だけど、早めに産廃の許可申請を取りたい」
そう考える方は、車内にある軽トラやバンを使い産廃許可申請を出しましょう。

土砂禁車両で残土を運ぶには変更許可申請が必要

上記の変更を申請すれば、土砂禁車両を土砂運搬用に変更できます。

● 車検証の内容が変更になるようなあおり箇所
● 車体の重量や積載
● 上部架装部分機械

構造変更は業者に依頼すれば、1週間~1ヵ月で手続きは終了可能です。
終了までの期間は、土砂禁車両が必要とする改修やパーツの取り換え数などにより変化します。
希少なパーツを使う場合には、工賃が上がる可能性もあるため注意しましょう。

土砂が産業廃棄物にあたるかは自治体が判断する

自治体の判断により、残土が産業廃棄物にあたるかは決まります。
工事中に産業廃棄物かもしれない残土が出現したら、自治体にまず問い合わせしてください。

自治体ごとに基準が異なるため、都道府県をまたぐ残土処分の際には注意が必要です。
自身が住む都道府県外の処分場へ残土を持ち込む際には、その地域の残土処理基準を確認しましょう。

まとめ

残土には産業廃棄物に該当するものと、そうでないものがあります。
産廃に該当する残土は、許可を得た業者が適切に運搬し処分する必要があるのです。
処分の基準や運搬できる車両はそれぞれ異なるため、この記事を確認し残土を適切な車両で運搬しましょう。