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有価物と廃棄物 | 違いや判断基準について紹介!

2023年11月27日

有価物という言葉の意味をご存じでしょうか。
いらなくなったものや壊れたものは、すべてが即座にゴミになるわけではありません。
利用価値があるものは廃棄物(ゴミ)ではなく、有価物とされます。

今回は、有価物と廃棄物との違いや、処理する際の注意点などを紹介します。

有価物と廃棄物 | 違いや判断基準について紹介!

有価物とは|隠れた利用価値を有するモノ

有価物とは、主観・客観的どちらかにおいて価値があるものです。
具体的な代表例は以下のとおりです。

種類 詳細
金属くず 金属製の部品、スクラップなど
非鉄金属スクラップ アルミ、ステンレス、銅、真鍮、亜鉛、鉛など
鉄スクラップ 鉄くず、鉄骨、ジュースの缶、ドラム缶など
古紙類 段ボール、新聞紙、雑誌、紙管など
樹脂類 プラスチック製品、ペットボトル、ビニール類、樹脂パレットなど

有価物は原則として有償で売却できます。
しかし、状態が著しく低下していると、例外的に売却不可になる場合があるため気をつけてください。

廃棄物(ゴミ)の処理・取引で要求される、資格・許可と有価物の資格は異なります。
有価物取引には、古物業許可・金属屑業許可・使用済み金属業許可などが必要です。

有価物と廃棄物(ゴミ)の判断基準とは?

有価物と廃棄物の判断方法・基準がわからず悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
ここでは、わかりづらい有価物と廃棄物を判断するための基準・要素について紹介するのでご覧ください。

①総合的に判断するための5つのポイント

有価物と廃棄物の判断には、総合判断説が多く採用されています。

総合判断説では、有価物か廃棄物かを5つのポイントから総合的に判断します。
5つのポイントの概要は以下のとおりです。

要素 基準
1.物の性状
  • 品質が要求を満たしているか
  • 生活環境へ支障をきたさないか
  • 環境保全に関する基準を満たすか
  • 客観的な基準を満たすか
  • 十分な品質管理がなされているか
2.排出の状況
  • 計画的に排出されているか
  • 保管・品質管理は適切か
3.通常どのように取り扱われているか
  • 廃棄物(ゴミ)として処理されていないか
4.取引の必要性
  • 有償での譲渡されているか
  • 処理料金がかかっていないか
  • 価格は合理的か
  • 実績があるかどうか
5.占有者の意思
  • 有償譲渡の意思があるか

上記の5つの判断要素を考慮し、妥当性が総合的に判断されます。
専門的な知識が必要な判断もあるため、不安な場合は専門家に相談しましょう。

②取引時の価値の有無で判断する

有価物は、一般的に取引(処分)時に費用は発生しません。
取引(処分)時に注意すべきポイントは、諸経費(運送費など)を差し引いても利益があるかどうかです。

やりとりの内容 利益or損失 有価物or廃棄物
売却代金:3万円

諸経費:(運送費など):1万円

2万円の利益 有価物
売却代金:3万円

諸経費(運送費など):4万円

1万円の損失 廃棄物

最終的な結果として、利益が出るか費用が出るかどうかが判断の分かれ目といえます。

有価物と廃棄物(ゴミ)の管理についての課題とは?

有価物と廃棄物をどのように管理するかについてはいくつか課題が存在します。
ここでは、有価物と廃棄物をどのように管理を考えるかを、2つの側面から紹介するので必見です。

①判断するための基準から考える

判断基準から考える課題で最も有名な判例が「おから事件」です。
概要は以下の5ステップで解説できます。

1.豆腐を作る際に大量の搾りかすである「おから」が排出された
2.おからを行政の許可なく有償で回収していた業者が検挙された
3.検挙の理由は、産業廃棄物収集運搬業および処理業の無許可営業だった
4.検挙された業者側はおからは有価物であると主張しました
5.しかし最高裁はこれを退けおからを廃棄物(ゴミ)と判断した

結果的に、この業者は罪に問われました。
この判決のポイントは、総合判断説だけではありません。
不法投棄の危険性など、そのほかの要素も総合的に考慮した判断結果がくだされた点にあります。

②資格や許可などの専門性から考える

産業廃棄物の収集運搬・処理の実施には、管轄する都道府県・政令都市の許可が必要です。
同様に有価物の取り扱いにも専門的な資格や許可が必要です。

有価物・廃棄物どちらにおいても、自由に誰でも処理できるわけではありません。
適切な処理をしなくては罰則が課されるため注意しましょう。

有価物・廃棄物を管理する際には適切な業者選定をする必要がある点に注意してください。

有価物の処理|気をつけるべきポイントや注意点とは?

廃棄物(ゴミ)は、昭和52年に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部改正」で定義づけがなされています。
しかし、有価物においては明確な定義は存在しません。

そのため、有価物の処理に関しては契約書・マニフェスト・許可証といった廃棄物処理法の規制全般が適用されないため注意が必要です。
有価物の処理において注意すべきものとして、逆有償があります。

有価物・廃棄物(ゴミ)の処理で気をつけるべき逆有償とは?

逆有償とは、有価物の処理時にお金をもらうのではなく、逆にお金を払う状態を指します。

発生原因として注意すべきは、諸経費の中の運送費用です。
運搬費用がコストが高くついてしまい、買取価格を上回る可能性があります。
結果として費用の支払い・損失につながるケースがあるため注意しましょう。

また、買い取った有価物を加工しリサイクル販売を検討している場合は注意が必要です。
加工に必要な材料がコストに該当し、有価物に該当しなくなるからです。

まとめ

有価物と廃棄物は管理や処理の方法が明確に異なるため、区別しなくてはなりません。

しかし、有価物と廃棄物の判断は難しく注意が必要です。
そのため、それぞれについての知識が不足していると不利益を被る可能性が高くなります。

不要な不利益を避けるためにも有価物・廃棄物(ゴミ)の知識を身につけましょう。